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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第79章 覚悟は




「意外だな、君がそんな子を選ぶなんて!」

一頻り笑い終えると、男はスッと静かに片手を上げて。

それを合図に、どこからか同じくスーツを身に付けた男が現れた。

何かが持ち運ばれてくると、それを静かに机へと置かれて。
自然と視線はそこへ向けられた。

「それで?何が聞きたい?」

机に置かれた物は、ガラス製の綺麗なチェス盤だった。

男は話を切り出しながら箱に詰められた駒を並べ始めると、鋭い視線をバーボンへと向けた。

「こちらの情報を頂けますか」

そう言って彼は、内ポケットから一枚の紙を取り出してチェス盤の傍へと置いた。

二つ折りにされたその紙には、何が書いてあるかは見えない。

男はそれを手に取ると静かに目を通し、ゆっくりと口角を上げた。

「高いよ?」
「承知の上です」

様子から察するに男は所謂、情報屋というやつだろうか。

そういう人間が本当に存在していたのかと驚いたが、彼が侵入している組織よりは余程、現実的だ。

「こちらで如何ですか」

彼は私の方へと手を伸ばすと、来る前に車内で首に付けられたネックレスを触ってみせた。

成程・・・預かるというのはそういう事か。

「・・・それも良いけど」

男は、曲げた人差し指と親指で顎を触って考える素振りを見せながら、何故か私を下から上まで見つめ、何度もその鋭い目を往復させた。

そして、ポケットから取り出したジッポを手馴れた様子で開いて火をつけると、バーボンが渡した紙へとその火を移した。

「その子で、どうだい?」

火をつけられた紙を軽く宙へ投げると、それは宙にいる間に灰となって消えていって。

その様子に見入っていて一瞬男が何を言ったのか分からなかったが、改めて脳内で男の言葉を再生し直すと、慌ててバーボンに視線をやった。

「申し訳ありませんが、その条件は飲めません」

男に負けない鋭い目付きで言い返すと、彼は両足の膝辺りにそれぞれ肘をつき、その先で手を組んだ。




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