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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第79章 覚悟は




「行きましょうか」
「はい」

外へと促されると、腰掛けていたソファーから立ち上がり、彼の傍へと近寄った。

「貴方に、よく似合っています」

腰を引き寄せられ、軽くキスを落とされる。

それが、バーボンと会う時の決まりのようなものになっていた。

いつもの駐車場へと向かうと、彼の白いスポーツカーが止まっていて。
これがRX-7という車だというのは、最近知ったことだ。

「どうぞ」
「ありがとうございます・・・」

彼は誰になっていても、助手席のドアを開けてくれる。
何度か自分ですると伝えたことはあるが、その度に丁重に断られた。

それからは諦めて、大人しくそれに甘えることとしていて。

「出発する前に、少しよろしいでしょうか」
「・・・?」

運転席に乗り込むなり、彼は突然そう切り出した。

首を傾げながら視線を向けると、彼はどこからか小さな箱を取り出して。

何だろうかと視線をそれに移すと、その箱をゆっくり開けてみせた。

「今日はこれを付けていて頂けますか」
「・・・ネックレス、ですか?」

そこにあったのは、暗闇でも僅かな光を反射し、輝く宝石が綺麗に散りばめられた、如何にも高価そうなネックレスが収められていた。

「ええ、少し預かっていてください」

そう言うと彼は箱からネックレスを取り出し、徐ろに私の首へと手を回して素早く装着した。

「だ、大丈夫ですか・・・私がつけてて・・・」
「勿論です」

言うや否や、首元に口付けを落とされて。

大丈夫だと言われても、こんなに高そうなものは身に付けたことが無い。
万が一にでも、傷付けてしまったら・・・。

「さて、行きましょうか」

私の心配を他所に、彼はいつもの笑顔を崩さぬままエンジンをかけた。

いつもはただついて行くだけだったのに。
このネックレスの理由も聞かされないまま。

車はただひたすらに夜の街を駆け抜けた。



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