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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第77章 知る由




たった一歩が、重い。
足を伝う生暖かい血が、私の歩いて来た道を示していって。

この上無くゆっくりな足取りにも関わらず、息が上がる。
それでも足を止めれば、ここに取り残されてしまう可能性もあるから。

必死に足場の悪い小道を進んで行った。

「そこに座りなさい」

乗ってきた車が見えると、共に彼女の姿も目に入って。

お互いを目視で確認すると、ベルモットは近くの木の傍へ座るように私へと指示をした。

半ば力尽きるように言われた場所へ腰を下ろすと、彼女は私のスカートを捲り上げ、撃たれた傷を確認して。

持っていたペットボトルを開けると、そこに入っていた水を掛けられ大体の血を洗い流した。

「・・・・・・」

その後も、手際良く包帯を巻いたりする姿に思わず見入ってしまって。

女優をしているというだけあって、やはり容姿は申し分無い。
何故、組織にいるのか不思議なくらいに。

「私の顔に、何か付いてるかしら」
「・・・いえ、別に」

彼女と視線は合わなかった。
けれど手当てをしながらも、ベルモットはそう私に問いかけてきて。

咄嗟に彼女から視線を外しながら、どうして私をそこまで気にするのか・・・そればかり考えた。

「後は勝手に病院に行くことね」

それを合図に彼女は立ち上がり、車へと向かって。
手当てされた足に目を向けると、丁寧に巻かれた包帯が目に入った。

彼女は、組織の人間の中でも・・・何だか違う雰囲気がある。
まだ人の心を持っている、とでも言うのだろうか。

単純に、私への興味だけでこうしているのなら・・・それはそれで恐ろしいことだけど。

「早く乗らないと置いていくわよ」

車のエンジンをかけながら、ベルモットは窓を開けて私に言い放った。

手当てをされたからといって痛みが引く訳でも無かったが、置いて行かれるのだけは勘弁だ。

再び何とか立ち上がると、後は気力だけで助手席へと乗り込んだ。




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