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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第77章 知る由




事務所近くの駐車場へと着くと、どうにもこの場所には浮いてしまうような車が一台あって。

真っ直ぐそれに向かう彼女を目で追いながら、その後に続いて歩いた。

「どうぞ、乗ってください」
「・・・失礼します」

彼女が運転席へと乗り込む前に、そう私へ一声かけて。
それが立花さんとして発した、最後の言葉だった。

言われた通り助手席へと身を押し込めば、ベルモットは車のエンジンをかけて煙草に火をつけた。

「貴女、バーボンとどういう関係かしら」

突然の変異、突然の切り出し。
ベルモットとして初めて会った時にもされた質問。

けれど、それに驚くことはもう無くて。

顔は動かさず、視線だけを運転席のベルモットへと向けて。

「それはあの時、散々見せたはずですけど」

バーボンと共に対峙した、あの日。
深く絶望を味わったことは今でも忘れない。

彼女とは、あれっきりになれば良かったのだが。
まさか何度も会う羽目になるとは。

「それだけじゃないわよね?あのバーボンが入れ込む理由、他に何かあるんじゃないかしら」
「それは私が知りたいくらいです。バーボンに聞いてください」

今はそういう事にしておいた方が良い。

バーボンに好意があることを理由にはするつもりだが、それ以外の事を語るつもりは無い。
厳密に言えば、できないのだけど。

ここでは、ただのバーボンの女なのだから。

「・・・まあ、いいわ」

吸殻入れにまだ長さの残る煙草を押し付けると、ベルモットはハンドルに手を移して。

「ジンの前では通用しないわよ」

そう言うと、車は荒々しく発車された。

そんなことも、分かってる。
ノックリストの件で目の前でキールが撃たれたのを見て、ジンが納得しなければ死が待っていることを。

零は夜まで戻らない。
それも、組織によって根回しされたことかもしれない。

彼がいない間に、私に接触を図った。
その理由はまだ分からないけど。

いずれにせよ、待ち受けているのが何なのか・・・それは良くない状況だと理解するくらいは私でもできた。



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