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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第76章 聞いて※




「ン、ぅ・・・んん・・・ッ」

キスで苦しくなると、今でも思い出す。
思い出したくはないけれど、どこか沖矢さんのことを。

あの時のキスの感覚は忘れたつもりだ。
けれど、本当に忘れられているのかどうかは、私では分からなくて。

それが、大きな罪として未だ私の中に残っている。

・・・自業自得、なんだけれど。

「考え事なんて、今日は随分と余裕があるんだな」
「・・・っ」

唇が離れ、一気に空気を取り込むと、彼は薄ら笑顔を浮かべながらそう言って。

目だけは笑っていない、笑顔を作って。

「舌の動きで分かる」

どうして、という疑問が顔に出てしまっていたのか、彼は親指で私の下唇を下へ押すように力を入れると、徐ろに私の口を開かせた。

全て見透かしているとでも言いたげな目が、少し怖いのに奇しくも綺麗で。

「言ったはずだ。二人の時は、僕だけを見ていてほしい、と」

彼の瞳が、真っ直ぐ私を見つめて。

いつものように、それに捕らわれて。

動けなくて、何も言えなくて。

もう一度、深くキスをされて。

何度も何度も、彼に溺れた。

ーーー

「・・・っい、零・・・っ」

ベッドに移され、纏っていた衣服を全て取り払われると、彼は指先だけで体に触れ始めた。

的確には触らない。
指先を体に這わせるだけ。

腹部や太もも、顔や首筋、全身を舐め回すように、ゆっくり優しくなぞらせた。

それが、この上無くもどかしい。

敏感な、所謂性感帯には触れず、ただ肌に触れるだけのそれが、酷くもどかしい。

「れ、い・・・っ」

擽ったさの中に生まれる欲望が膨れ上がり、自然と体を捩らせた。

きちんと触れて欲しい、と名前を呼んで訴えてみるが、彼はその様子を黙って見つめたまま、微弱な愛撫を続けた。

「・・・っあ・・・は、ぁ・・・ッ」

何もしていないのに、息が上がる。

呼吸が苦しくて、胸も苦しい。

狂っている程に、彼の要望通り・・・今は彼しか見えていなかった。



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