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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第74章 そして※




「それ以上は駄目だ・・・っ」

肩を掴まれ密着していた体を剥がされると、僅かに息を乱しながら彼にそう言われた。

「嫌だった・・・?」

零が嫌ならばやらない。

けど。

「嫌な訳無いだろ。・・・驚きはしたが」
「私も驚いてる」

矛盾するような言葉だが、実際自分でも驚いているのだから仕方がない。

「暫くは安静にしないと・・・」
「だから私にさせて」

そういう理由で零に我慢させているのなら。

「無理はしないし、零が嫌になったらやめるから」

自分でも不思議だった。

彼と一緒に居られれば、そういう事はしなくても大丈夫だと思っていた。

けど、今は不安で不安で仕方がない。

昨日の彼の言葉一つ一つが自分の中で何度も繰り返され、不安で満たされていくのが怖かった。

だからどこか、確認しようとしているのかもしれない。

「・・・だめ?」

改めて問えば、彼は目を伏せて深く長くため息を吐いた。

「無理を・・・させてないか?」
「してないよ」

そう返事をすると、掴んでいた彼の手を優しく退かして、触れるだけのキスをした。

正直、体は悲鳴をあげている。

指一本を動かすだけで、軋むような痛みがあった。
けれど、それ以上に勝手に動いている部分もあって。

「・・・相変わらず、頑固だな」

戸惑うような笑み。
でもその向こう側に、抑えきれない程の焦りに似た物も感じた。

それがきっと、彼の欲望なんだと悟った。

「・・・っ・・・」

もう一度、彼の耳に唇を近付けると、今度はその柔らかい部分を口に含んだ。

いつも、彼が私にするように。

口の中で舌を這わせれば、時折、零の体が震えるのが分かった。

そんな姿を見ることは滅多に無い。

なのに気持ちは満たされるどころか、ぽっかり空いてしまった穴には埋まる底が無く、どんどんと落ちてしまっていく。

何故。

その理由は分かってるくせに。

彼に問えば分かるのに。

答えを出そうとしないのは、やはり私が、頑固だからだろうか。



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