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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第74章 そして※




「お腹空いてるだろ。何食べたい?」

その優しい笑顔のまま柔らかい口調で問われれば、完全に気持ちは甘さに偏っていて。

だから、だろうか。

「・・・零、って言ったら怒る?」

それは半分本気で、半分冗談のつもりだった。

昨日、変に火照らされた体の疼きは意外と残っているもので。
その勢いで、つい普段言わないような事を言ってしまった。

それにはてっきり、笑って返されるんだと思っていたのに。

「・・・怒る」

しかし彼の口から出たのは、少し低めに言われた予想外の一言だった。

表情を確認すれば、さっきまでの笑顔が嘘のような、言葉通りのものに肝が冷えた感覚を覚えて。

「ご、ごめ・・・」

冗談として受け取ってもらえなかったのか、と思い謝りかけた時、彼は食い気味で言葉を続けた。

「食べるのは、僕だからだ」

怒っているのはそこ?
と、言いたかったのに。

思っている頃には既に口が塞がれていた。
さっきよりは濃厚に、でも優しく溶けるようなキスで。

キスだけでおかしくなってしまいそうなくらい、意識はもうクラクラしていた。

・・・否、既におかしくはなっている。

「・・・本当に、あまり煽るなよ。これでも我慢してるんだからな」
「しなくていいのに」

唇が触れるか触れないかギリギリのところで言われれば、ポツリと呟くようにそう言った。

それは冗談なんかでは無く、本気の言葉。

寧ろ、その手で壊してくれれば良いのに。
そう思うくらいには、彼に飢えていたんだと思う。

「優しくする自信が無い」
「優しくなんてしなくて良い」
「これ以上体を悪くしたらどうするんだ」

口喧嘩、という訳ではない。
けれど、お互いを納得させようと口調はそれぞれ荒めではあった。

零の言いたいことは勿論分かっている。
でも、最近そればかりで納得できない自分もいる。

怪我をしているのは全部自分が悪いのに。
零だって、疲れているはずなのに。

醜い欲だけを、吐き続けてしまう。



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