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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第74章 そして※




「・・・そうだな」

肯定の言葉を口にすると、ゆっくり彼の顔が近付いてきて。

今まで何度も、そうされたことはあったのに。

妙に鼓動が早くなってしまうのは、何故だろう。

「・・・ン、ぅ・・・っ」

触れ合った唇の隙間から、優しく舌が絡んでこようと侵入してきて。

労わってなのか、いつもより優しく、ゆっくりとした絡ませ方だった。

苦しい、激しいという感情は無く、ただひたすらにお互いを感じるだけの、甘いキスを続けられた。

「・・・可愛い」

唇が離れると、そうポツリと呟き、指の外側で頬を撫でられ、密着していた体を離された。

徐ろに立ち上がり身にまとっていた服を脱ぎ始めたことを確認すると、彼が着替えようとしているのを察すると同時に、何故か昨日のことをふと思い出してしまって。

彼は昨日、私の事を誰だと思っていたのだろう。

覚えていない様子だったが、もしあの場にいたのが私じゃ無かったら。
同じように彼はその人を・・・。

なんてことを、彼の背中を見つめながら考えた。

「・・・そんなに見られると、流石に羞恥を感じるな」
「ご、ごめ・・・っ、そんなつもりじゃ・・・」

彼に言われて咄嗟に視線と顔を反対側に逸らせた。

別にそういう目で見ていた訳では無いが、こういう時は否定する程、怪しくなってしまうもので。

変に誤解させてしまったのではないかと思うと、こちらの方が恥ずかしくなってしまい、思わず両手で赤く染っているであろう顔を覆った。

「・・・隠すな、見えないだろ」
「見せないようにしてるの・・・」

いつの間にか傍に来ていた彼が、顔を覆う私の手を退けながら、そう言って。

覗き込んできた彼の目を睨みの利かない目付きで返せば、いつもの優しい笑顔で返された。

・・・ああ、私が好きなのは、この笑顔だ。

バーボンの時の彼が嫌いな訳では無い。
けれど、優しく笑うこの時の彼が、大好きなんだ。



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