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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第74章 そして※




「どうして・・・ここにひなたが・・・」
「・・・覚えてないの?」

呆然と私の姿をただ見つめ、本当に何が起きているか分からない様子の彼に、不安を覚えた。

・・・その、瞬間だった。

「零・・・っ!?」

足から力が抜けていくように、彼の体が私の方へと倒れ込んできて。

咄嗟に受け止めたものの、今の体の状況とそもそもの体格差がある為、彼の意外としっかりとした体を支えられるはずも無く、そのまま彼に潰される形で床へと体を倒れこませた。

「れ、い・・・っ、零・・・!」

何度か呼びかけるが、返事がくることは無くて。

ゆっくりとした彼の呼吸を感じ取れば、深く眠っているのだと思った。

・・・もしかして、最近眠っていなかったのではないだろうか。
暗闇と角度でよくは見えないが、確認してみると少し隈が酷い気もする。

疲れから・・・彼があんな状態になってしまったのか。
・・・いや、それだけでは無いだろうけど。

「・・・っ、・・・だめ、か・・・」

完全に力の抜け切っている彼の体を一度どうにかしようと試みるが、それは呆気なく不可能なことを悟った。

ただでさえ力が入らないのに、力の入りにくいこの体制では到底無理だ。
ベッドに移動させたかったが・・・どうやらそれは厳しいようで。

「・・・・・・」

床は畳だけれど、そこそこに痛い。
それに、多少の息苦しさもある。

けど、彼がすぐ側にいるから。
それだけで私には十分で。

多少の痛みは我慢できる。
彼のいない苦しさに比べたら、なんて事無い。

私を押し潰す彼の体にそっと腕を回すと、安心したのか僅かにお腹の虫が騒ぎ出して。

ああ、そういえば何かを食べようとしていたんだ。

それを思い出しつつも、諦めと別の意味での満足に、瞼の力をそっと緩めて。

瞳に蓋をして光を遮断すると、彼の吐息を、鼓動を、存在を感じながら、もう一度ゆっくりと眠りについた。



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