第74章 そして※
「待っ・・・て・・・!」
「待ちませんよ」
待ってくれるなんて思ってはいないけど、それでも僅かな望みをかけて、その言葉を口にしてみた。
けれど、結局その静止を求める言葉が、彼の動きを早めてしまったようで。
蕾を刺激していた手がゆっくり離れると、今度は太腿を指先だけで撫でるように優しく這わされた。
「・・・・・・ッ」
もどかしい。
もどかしくて仕方がない。
ちゃんと、触ってほしい。
久しく彼とそういう事が無かったせいか、欲望だけはどこまでも貪欲に溢れてくる。
でもやはり、バーボンである彼に身を委ねることは、簡単にはできなくて。
「どうしてほしいですか?」
・・・あぁ、いつもの意地悪な時の彼の部分だ。
なのにどうして・・・今は零ではないのか。
「離し、て・・・」
思いとは裏腹な事を口にすれば、体が更に貪欲に求め始めて。
「そんな事を言う割には、体が跳ねていますよ」
少し笑みを含むように耳元で囁き、バーボンは私の欲望を煽っていった。
明確な刺激ではないのに。
太腿に、ただ優しく指が触れているだけなのに。
彼の吐息が、耳を燻るだけなのに。
体はそれを快楽として受け取っていく。
「ほら、もうここも・・・」
「やぁ・・・ああ・・・ッ!!」
下着越しに秘部を指で押され、大きく体を跳ねさせた。
体は求めていた快楽を与えられ、歓喜しているようにも思えた。
けれど頭では、それは降谷零によるものではないと、正すような意見も出ていて。
「さあ、どうしてほしいですか?」
明確な快楽は、あれ一度きり。
その後は再び、優しく下着の上から撫でているだけ。
それも、手袋越しとなればもどかしさは数倍に増えて。
触って、乱して、滅茶苦茶にしてほしい。
今なら・・・降谷零になら、言えたかもしれない。
けれど目の前の彼はそうじゃない。
混乱と快楽で、頭がどうにかなってしまいそうだった。