第73章 未休み
「いつから分かってたの?」
「電話した時、車に乗ってるみたいだったから。タクシーの可能性もあったけど、さすがに観覧車にノーヒントで辿り着くことは不可能でしょ?」
相変わらず恐ろしい。
あの数分間の電話で、車に乗っていることまで察していたなんて。
「それに、観覧車の裏側に行った時、丁度赤井さんの姿が見えたんだ。その後、如月さんと会って確信を持った」
成程、だからあの時私に、ここに赤井さんがいるよね、と確信的な言い方をしたのか。
最初から姿を見ていたなら、自信を持って言える訳だ。
「ごめん、私は隠すつもりなかったんだけど。赤井さんに止められたから」
「そっか」
分かってるよ、とでも言いたげな笑顔をされると、彼は再び沖矢さんを睨むように見た。
何故彼を気にするのだろうと再び視線を追い沖矢さんに目を向けるが、相変わらずの笑顔を崩さないままコナンくんの鋭い視線を受ける彼がいた。
「今回の事で、如月さんはもっと危険な立場になったこと・・・ちゃんと理解はしてるよね?」
「・・・一応ね」
正直、実感としては薄い。
ただ、一度バーボンがノックではないかと疑われた。
そして私とバーボンがまだ繋がっている事を、ベルモットは知っている。
これが既に危険な事だということは・・・理解しているつもりで。
「今回は赤井さんがいたから百歩譲って良いとしても、これからは本当に・・・」
「コナンくん」
彼も、私があまりにも言うことを聞かないのに半ば呆れているかもしれない。
・・・けど、それは感情は違えど私も。
「君も、ね」
私にはコナンくんの方が余程、危険な立場で危険な事をしている気がする。
こちらにも心配という感情はあるんだと、視線で訴えた。
「僕は大丈夫だよ」
そう言う彼の目は自信に満ち溢れていて。
一体それはどこから湧いてくるのだろうか。
思いながらも、相変わらず彼の言葉にはこの上なく説得力があった。