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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第9章 仮の姿




事務所からの帰り際、昨夜のうちに風見から受け取っていた例の物を彼女へ渡した。

監視カメラ付きの置型時計。

「よく見える位置に置いてくださいね」

そう付け加えて。
嬉しそうに受け取る彼女にまた心の痛みが増す。こういうやり方しか知らない自分があまりにも醜く感じた。

彼女が家に入った頃を見計らって、時計のカメラ映像をスマホで確認する。どうやら部屋が見渡せる良い位置に置いてくれたようだ。

その時の彼女は誰かにメールをしている様子で。
恐らく相手はコナンくんだという予想は立った。少なくとも明日までには接触するだろうということも。

コナンくんが彼女に付けていた盗聴器に、僕が気付いていることは彼も分かっているだろうし。

そして、ふとベッド横のテーブルに視線を向ける。そこに広がるのは小さな歯車やネジのようだった。
画面越しではよく分からないが、緻密な物というのは把握出来た。

暫く経って彼女はそれらを触り出した。その姿は真剣そのもので。作業に没頭しているのか、その日はそのまま動きそうになかった為、スマホの画面を閉じて仕事へ向かった。


仕事が一段落した夕方頃、改めて彼女のスマホのGPSを確認すると、反応がないことに一瞬驚いて。それはアプリが削除されたことを意味していた。

彼女に気付かれたのだろうか。
・・・いや、何かの不具合の可能性もある。
それは追々確認するとして、とりあえずメールで入ってきていたペット探しの依頼を丁度良かったと言わんばかりに彼女へ連絡した。

念の為置型時計の監視カメラで確認すると、昼間と変わらず作業をしながら僕にメールを返す彼女の姿があって。
どこか安心している自分がいた。

GPSがない以上護衛をつけることも考えたが、明日はとりあえず自分が張り込むことにして。

その時感じた妙な胸騒ぎは無かったことにした。


翌日、ペット探しの依頼先で彼女を待った。
姿が見えるまではどこか落ち着かず、何度も時間を確認した。
約束の時間通り彼女は依頼先へ姿を現し、あっという間に仕事を終える。

本来であれば彼女に依頼の連絡をするべきでは無かったのだとは思う。

それでも今日のような日に、彼女の周りをうろついている奴が接触してくるかもしれない。そう思って彼女へ依頼の連絡をした。

所謂、劣りという形で。


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