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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第72章 悪夢を




二つの車輪が重なるようになっている巨大観覧車の内部に潜入し、私達はその間に位置する車軸の部分へと来ていた。

「君はここにいろ、指示をするまでは絶対に動くな。俺は様子を見てくる」

そう言って、その場から立ち去ろうとする彼の腕を咄嗟に掴み動きを止めた。

「ま、待ってください・・・私にも何か・・・」
「今の君にできることは、待機だ。待つことも、立派な任務の一つだということを理解しろ」

少し強めに言われれば、それ以上は何も言えなかった。
彼から見れば、私はただの民間人だ。

その上、組織から目を付けられている。
そんな人物に、変にウロウロされても確かに困る。

理解しているつもりでも、いつも気持ちばかり先走ってしまう。

「・・・すみません」

俯いて小さく謝れば、再び彼の手が頭に乗って。


「そんな顔をするな」


同時に、彼が低い声でそう言った。

「!」

聞いたことのある言葉・・・そして、言い方。
これを聞いたのはいつだったっけ・・・。

・・・思い出せそうで、思い出せない。

「警備員に見つからないように、適当に隠れておくんだ。いいな?」
「は、はい・・・」

動揺が残る中、彼は子どもに言い付けるようにそれだけ告げると颯爽と姿を消した。

言われた通り、なるべく人目に付きそうにない隅へと体を動かすと、気配を殺すように息を潜めて。

さっきの赤井さんの言葉・・・以前言われた事があるが、それは赤井さんではなかったような気がする。

膝を抱えるように身を縮ませながら、さっきの言葉を何度も何度も頭の中で再生した。

何故こんなにも引っ掛かるのだろう。
あんな些細な言葉に。

「・・・そんな顔を・・・するな・・・」

確認するように、小さく自分でも呟いてみて。

その時、とある日のことがフラッシュバックするように、頭の中で流れていった。

それは、あのミステリートレインでのことだった。



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