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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第71章 純黒の




「・・・ッ!!」

赤井さんの顔が近付いた瞬間、咄嗟にその口を自分の手で塞いだ。

それに対して彼は驚いた様子も見せず、ただ落ち着いた雰囲気だけを纏っていた。

「・・・二度目だな」
「え?」

塞いだ手を掴まれ、それをゆっくり離されると口角を僅かに上げて、小さく呟くようにそう言った。

二度目・・・確かにそう言った。

彼にこういう事をされたことは無い、はずだが。

「声を出したら塞いでやるから覚悟しろ」

何で、とは言わないが、さっきの行動でその答えは十分に出ている。
彼なりの冗談だとは思うが、それにしては少し度が過ぎているようにも思えた。

・・・赤井さんの事はあまりよく知らないはずなのに。
何故か、彼はこういう人だと・・・納得している自分もいた。

「行くぞ」

組み立て終えたライフルを持って、彼は少し離れた場所に見える廃倉庫のような所へと足を進めた。

そこへ近付くに連れて、段々と息が苦しくなるようで。
気分は最上級に悪いが、そんな事言える状況でも立場でも無い。

「・・・!!」

目眩まで引き起こしそうな中、倉庫に近付く最中に目に入ったのは、見覚えのある車達で。

ポルシェ356A・・・そして・・・。
・・・零の、スポーツカー。

その白い車体には、知らない大きな傷までできていて。
何が理由で、なんて考えることも恐ろしかった。

とりあえず、ここに居ることは間違いない。

疑っていた訳では無いが、そう確信を得ては警戒心を落とさないまま、赤井さんの後ろを追って。

倉庫近くに来ると、彼は視線で身を潜める場所を指示した。

それに対して了承の頷きで返すと、そこへ素早く移動し、壁に背を付けながら僅かに壊れた壁の隙間を確認すると、赤井さんはゆっくりとそこを覗き込んだ。

「?」

暫くして、赤井さんはそこを覗いてみろと言うように、黙ったまま親指で指して示してみせて。

彼に不安の視線を向けつつも、この為にここに来たのだからと、意を決してその隙間に顔を近付けた。



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