第71章 純黒の
「うむ・・・彼らの共通点は、例の組織に潜入していたこと」
「それじゃあ、黒ずくめの奴らに・・・!」
恐らくそれに証拠は無い。
だが十中八九、間違いの無いことだろう。
そして、あの組織には公安やFBI、それにCIAだけでなく、世界中からスパイが送り込まれていたとは。
それでも、壊滅に追い込めないなんて。
「組織の工作員が、警察庁からデータを盗んだ疑いがあると、赤井さんから報告を受けていたんです」
赤井さんから・・・か。
彼もきちんとFBIとしての仕事をしているんだな、と思うと同時に、警察庁から・・・というキャメルさんの言葉に引っ掛かって。
「ジョディ先生。僕を呼び出したのは、その工作員と思われる人物と接触したからなんだよね?」
「ええ」
・・・そういう事か。
ジョディさんの返事を聞いて、ようやく疎い私でも、今日呼ばれた理由の全貌が見えた。
つまり、あの銀髪の彼女が・・・その組織の工作員という訳か。
でも昨日の事故に巻き込まれて、記憶を失った可能性が高い・・・ということだろうか。
「やっぱり・・・でも彼女は記憶喪失で、記録媒体になりそうなスマホも壊れてたよ」
「スマホ!?彼女が持っていたのかい?」
ジェイムズさんが食らいつくように、彼女の事を話すコナンくんに体を向けた。
「うん、ベンチに放置して行ったから預かってたんだ。今、如月さんと博士に復元をお願いしてる」
コナンくんの言葉に、FBIの人達の視線が私に集まった。
それは私にできるのか、という疑問の意味と、いつ出来るのか、という催促の意味があるように見えた。
「えっと・・・完全な修復は難しいですが、もう少しで何らかのデータは拾えそうです」
今はそれを博士が進めてくれている。
事情が分かると、尚更それを早めないといけない気持ちで焦ってきてしまって。
「では、解析でき次第教えてほしい」
「分かりました」
ジェイムズさんの言葉に頷いて返すと、彼は何故か少し複雑そうな表情を浮かべた。