第70章 巡遭い
「だってー」
「このゲームをやってから始めようかと」
「そしたら姉ちゃんが、これ取ってくれたんだぜ!」
そう言って見せてくれたのは、イルカのキーホルダーで。
「どうやらこのエリアも、私達がやった方が良さそうね」
コナンくんは呆れた様子だったが、哀ちゃんは反対に子ども達を温かく見守っている様子で。
普通ならコナンくんの反応が正しいんだろうが、彼女にしか分からない、子ども達の心理というものがあるのかもしれない。
「おーい!」
子ども達とコナンくん達、各々が話を進めている中、今度は上の方から阿笠博士の声がして。
どうしたのかと視線を上げると、博士は大きく手を振りながら大きく声を上げた。
「観覧車が空いてきたぞー、乗るなら今がチャンスじゃー!」
その言葉に喜んだのは勿論子ども達で。
景色を見たら何かを思い出すかもしれないと、銀髪の彼女も連れて博士の方へと行ってしまった。
「如月さんは良いの?」
「え?あ・・・私、高い所はちょっと・・・」
高所恐怖症という訳ではないが、高くて足場が不安定な所が少し怖かった。
高層ビルの様な所から下を見る事は平気でも、観覧車や吊り橋のように高い場所で揺れるような物は苦手で。
「ま、観覧車好きの博士に付き合ってあげましょ」
コナンくんが苦笑を浮かべる中、哀ちゃんは先ほど銀髪の彼女がやっていたアトラクションへと近付いていって。
ここのスタッフにも抜かりなく尋ねるのだと察して、その後を追い掛けた。
「すみません、さっきそれをしていた女性に見覚えありませんか?」
どうやら彼女がやっていたのはダーツの様で。
そういえば大きく鐘を鳴らしながら、最高得点と言われていたようだったが。
「さっきの銀髪の女性の事かな?悪いけど、見覚えないなあ。あれ程の腕前のお客さんは、忘れるはずがないからね」
そう言って銀髪の彼女が立っていた台に視線を向けた瞬間、そこには目を疑う光景が用意されていた。