第70章 巡遭い
「・・・誰に連絡するの?」
「毛利のおじさんだよ」
・・・という割には、彼のスマホには先に蘭さんのアドレスが表示されていて。
蘭さんから毛利探偵に伝えてもらおうという訳だろうか。
「おじさんから高木刑事に連絡してもらおうと思って」
私の疑問を汲み取ってか、彼はメールを打ちながらそう話した。
確かにそうすれば、コナンくんが警察に直接通報したという事にはならないし、毛利探偵にも協力してもらえる。
相変わらず彼は何というか・・・敵でなくて良かったとつくづく思う。
ーーー
「彼女、本当にここに来たことあるのかしら?」
あれからコナンくんと哀ちゃんとで、観覧車の付近を彼女の写真を見せながら聞き込みを続けた。
ただ皆答えは決まって、見覚えが無いと言うものばかりだった。
「これだけ特徴的な髪と目の色をしているのに、誰一人として覚えていないなんて、おかしいよな?」
確かに彼の言う通りだ。
あの見た目であれば、自然にしていても目がいく。
そして、一度目にしていれば記憶には残りやすいだろう。
「どうする?もうこの辺りは殆ど回っちゃったけど・・・」
「そうだね、あとは・・・」
コナンくんに尋ねると、園内図を広げながら柵にもたれ掛かり、次の行動を考えようとした・・・矢先だった。
「頑張れ姉ちゃーん!」
「最後の一本ですよ!慎重にいってください!」
どこからともなく子ども達の声が聞こえてきて。
園内図を見ていた彼らと共にその方向へ目を向けると、あの女性と一緒に何かのアトラクションを楽しんでいる子ども達の様子が見えた。
「アイツら・・・」
溜息を吐きながらも、一度子ども達の元へと戻ろうと考えたのか、とりあえずその方向へと足を進めて行く彼に着いて行って。
私からすれば、外見中身関係なく、子どもが子どもの面倒を見ているようにも見えるが。
「おい、お前ら。すっかり遊んでっけど、お姉さんの記憶を戻すんじゃなかったのかよ?」
景品であろう何かを選んでいる子ども達の背後からそう声を掛けると、彼らは少し不服そうな表情を浮かべながら反論を述べた。