第70章 巡遭い
暫く車を走らせていると、車内に付いているテレビからニュースが流れてきて。
それは昨夜の、大規模な事故に関するもので。
相当酷いものだったようだが、幸い死者は出なかったらしい。
その事故が原因の大きな爆発があった時間、私は事務所に居たが、事故現場から距離があったにも関わらず、僅かだが音だけは届いた。
それ程、今回の事故は酷いものだった。
「あ!これって、これから行く水族館だよね!」
俯いて被害に心を痛めていると、いつの間にか切り替わったニュースに歩美ちゃんが反応して。
私も、今日行く場所を前日に知らされて驚いた。
確かに水族館とは聞いていたが、まさか今日リニューアルオープンするあの東都水族館だとは思いもしなかったから。
「ねえ、観覧車も行こうよ!」
「いいですね!」
後ろで盛り上がる子ども達を振り返りながら見れば、自然と笑みが零れた。
あの無垢な笑顔は見ていて心が落ち着く上、浄化される。
・・・誰かの笑顔とは大違いだ。
「着いたぞ」
それから程なくして駐車場に車が止められた。
さすがにリニューアルオープン日とあって、人が多い。
気を抜けば迷子、人酔いなんてあっという間だ。
「よーし、チケット買いに行こうぜ!」
「おー!!」
走り出す子ども達を博士が追い掛け、その後ろをコナンくんと哀ちゃんがついて行った。
その姿はまるで保護者の様で。
さすがにコナンくん達も中身は高校生とはいえ、離れてしまってはいけないかと思い、その後ろから彼らについていく事にした。
「・・・?」
突然コナンくんが立ち止まると、辺りを匂うように鼻を動かして。
「どうしたの?」
何事かと彼を見つめていると、哀ちゃんが先にそう声を掛けた。
だが彼はそれに返答をせず、突然駆け足でその場を離れて。
「ちょっと・・・!」
哀ちゃんと慌ててコナンくんを追い掛けると、その先には、銀色の長い髪をした綺麗な女性がベンチに座っていた。