第70章 巡遭い
「一度透さんに相談してみないといけないけど・・・」
何故か最近は一人でも、ある程度は行動させてもらえる。
恐らく、コナンくんと一緒にということを伝えれば、許可は下りるだろうが。
「・・・沖矢さん・・・いないよね?」
心配になったところはそこで。
『大丈夫。博士と灰原と、子供たちだけだよ』
その子供たちに、哀ちゃんとコナンくんが含まれていない事に、心の中でクスッと笑った。
彼も高校生と言えど、私にとっては少し大人びた子どもの様なものだから。
「分かった。今日の夜になると思うけど、透さんに聞いたらまた連絡させてもらうね。私も話したいことがあるし」
『うん、ありがとう』
そう言って電話を切ると、ソファーに全身を預けた。
その瞬間、生まれてきたのは大きな疑問で。
・・・どうして、私が選ばれたのか。
確かに少年探偵団の子達には、あれからもポアロの前で何度か会っているが、それでも毎回軽く挨拶をする程度で。
それでも私を慕ってくれていて、素直に選んでくれただけなら喜べるのだけど。
そして、その上一つ不安なことは、コナンくんがいる事で。
高木さんも言っていたが、彼と居る時には何かしらの事件が起きるから。
軽井沢や波土さんの時のように、妙な事件が起きなければ良いが。
ーーー
週末になり、コナンくんとの約束通りポアロの前で彼と待ち合わせをした。
零に行っても良いか尋ねた時、案外あっさりと許可は貰えた。
ただ、何かあった時は連絡しろと、日が変わる度に何度も言われた。
そして、また暫く公安の仕事が忙しくなる、ということも付け加えられて。
出かける前日の夜も、珍しく出掛けたまま帰って来ることは無かった。
「おはよう、如月さん」
探偵事務所から降りて来ながら、コナンくんが挨拶をしてきて。
「おはよう、コナンくん。今日はよろしくね」
「こちらこそ」
挨拶もそこそこに、早速集合場所である阿笠邸へと向かった。
一度ここに来たのは、彼と少し話がしたかったからで。