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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第68章 蔑んで※




「・・・良かった」

目が合った瞬間、零の口からは安堵の言葉が盛れてきた。
予想とは違う答えに戸惑いながら、彼の目を見て瞬きを繰り返した。

「ひなたは辛いことをすぐ隠すから」

そう言って、零の手が頬を包んで。
少し冷たいその手は、やっぱり心地良い。

「頼られているようで、嬉しい」

泣きそうな笑顔を向けられれば、私も何故か泣いてしまいそうになって。

彼の手に自身の手を重ね、温もりを分け与えた。

「・・・無理させて悪かった」

彼の謝罪を受け、小さく首を横に振って。

「無理なんてしてないよ。・・・その、零は・・・大丈夫なの・・・?」

あの後、どうなったのか私には分からない。

今更になって、彼の最後を知らないことに無責任さが押し寄せてきて。

「ひなたがいたから、何とかなった。・・・アレについて詳しくは言えないが、それは許してくれ」

アレ、というのはあの筒から出てきた煙の正体の事だろう。
何となくではあるが、ある程度どういう物かは察しがついているつもりで。

話せないのは公安の仕事絡みだろうから、仕方が無い。
私は警察官でも公安の人間でもないから。

別に、無理に聞こうとも思わない。

「大丈夫、気にしないで。それより・・・怪我は・・・?」

そんなことより気になるのは、彼の状態だ。
お風呂場で彼の背中を見た時には酷い痣だったから。

「手当てはしている。ひなたの傷に比べたら、大したことないから気にしないでくれ」

きっと彼の言う傷というのは、心の方で。

そして彼の言葉通り零の動きに、ぎこちなさも動きにくさも感じられない。
その言葉は信じても良いのだと直感で感じた。

「・・・服、揃えないとな」

そう言われて、ようやく自分が彼のトレーナーだけを身につけていることに気が付いた。

着ていた服は裂かれた上、ここには着替えもない。
このままでは外に出ることすらもできない。



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