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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第68章 蔑んで※




「零は・・・っ」
「・・・大丈夫だ」

それ、ばかり。
きっと彼にも分からないんだ。

治まるか分からないものを、彼はずっと耐えようというのか。

・・・そんなの見ていられない。

「私は・・・構わない・・・」

切れ切れの息の中、自分の意志としてそう伝えた。

人間というのは不思議なもので、それは欲望のまま快感を得ることで治まるというのが、本能で察知できた。

今互いの目の前にいるのは、知らない人間では無い。
お互い、触れ合って困る人でもない。

だったら。

「それで零が・・・治まるなら・・・っ」

少しでも、早く楽にさせてあげたい。
同時に、自分も早く楽になりたかった。

「今のひなたには無理だ・・・っ」
「どうして・・・!」

彼の汗なのか、シャワーによる水なのか、それが分からないくらいに零の表情はどんどんと歪んでいった。

「抵抗する力を失っている上・・・、僕がこんな状態だ・・・」

硬い床に押し付けられていた体を起こされながら、彼は言葉を続けた。

「・・・傷つけてしまうかも・・・しれない・・・」

彼より症状はきっと軽いんだろうが、それでも分かる。

理性というのが、着実に無くなっているのが。

その理性を失ったまま触れ合えば・・・それは確かにどうなるか、私にも分からなかった。

・・・けど。

「それでもいい・・・」

苦しむ彼を見ているより、よっぽど。

傷ついても、壊れたとしても。

「・・・駄目だ」
「零・・・っ!」

早く、と急かすように彼に縋り、逸らそうとする目を見つめた。

「お願い・・・だから・・・っ」

それでも彼はこちらを見ようとはせず、拳を固く握ったまま瞼もキツく閉じて。

「私にもできることは・・・させてよ・・・」

さっきのことがあったからかもしれないが、理性が無くなっている時は涙腺も緩むのだろうか。

鼻の奥がツンと痛んだと思ったら、もう涙がポロポロと落ちていて。


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