第68章 蔑んで※
「・・・っは、ぁ・・・零・・・っ」
寒いはずなのに。
そんなことを感じる間も無いくらい、体が熱を帯びている。
「っあ・・・やぁ・・・ッ!!」
首筋に舌を這わされると、感じたことのないような感覚に襲われ、快感のままに甘い声を漏らした。
きっと、過敏になり過ぎているのは私だけ。
けれど、互いにこんな状態になってしまったのは恐らく、男が最後に投げた、あの筒から出た煙のようなもののせい。
・・・そして、気がついてしまった。
「ン・・・っ、ふ・・・あぁ・・・ッ!!」
今、私は・・・何でも良いから、とにかく触れてほしいと思ってしまった、と。
目の前にいるのが零だったから、彼の名前を無意識に呼んでいたが。
それが彼でなかったら?
それでも、私はその目の前にいた人物に、そんな風に思っていたのだろうか。
「・・・・・・ッ」
違う。
そう思いたかった。
けれど、同時に・・・誰でも良いから、という思いがあったことも否めなくて。
それがあの煙のせいで・・・目の前の人が零じゃなかったとすると・・・恐ろしくて吐き気がするようだった。
「悪い・・・」
その一言を聞いて、彼も同じ状態なんだと悟った。
でも、我慢できないのも互いに痛いほど分かっている。
「・・・ッ・・・・・・」
そんな状態で私に触れたくない、とでも言いたいように、彼の拳は強く握られていて。
・・・私はどうしてあげれば良いのか分からない。
体は必死に求めている、心も彼だから許している。
けれど、素直に求めて良いのか。
彼はこんなにも感情を押し殺しているのに。
「・・・ひなたはそこまで吸い込んで無いだろ・・・一時間もあれば・・・治まるだろう、から・・・」
振り絞るような声で話す彼に、熱を上げるようだった。
確かに私は少ししか体内に入れていないハズだ。
・・・けれど、零は?