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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第65章 不行跡




「・・・戻るぞ。離れるなよ」
「あ、うん・・・」

彼の言葉に頷くと、抱きしめられていた体は静かに離された。
それは、あまりにもさっぱりとした離れ方で。

どこか戸惑いを感じながらも、部屋を出る彼に慌ててついて行った。

「あ、安室さん!どこ行ってたんですか!」
「すみません、ちょっと」

さっきまでの場所に戻るなり、梓さんが零・・・透さんに駆け寄ってきて。

「ひなたさんも、波土さんのファンだったんですね。知りませんでした!」
「あ、いえ・・・私は・・・」

・・・やっぱり、感じる。
大きく、違和感を。

なんだろう、何なんだろう。

「如月さん・・・!」
「コナンくん?」

血相を変えて近寄ってきた彼は、突然私の手を取ると小さく引っ張って。

離れるな、という指示に反するのではと不安になり、慌てて透さんの方に振り向くと、僅かに彼が頷いた気がした。

きっと、ついて行っても良い、ということ。

それを瞬時に判断すれば、コナンくんに引かれるがまま、透さん達から距離を取った。

「逃げて、ここから・・・早く・・・!」
「ど、どうして・・・?」

焦っている様子の彼に、只事ではないことを察知するが、それが何なのかまでは分からない。

「説明はまた今度・・・今はとにかく・・・」
「消防査察に来ました」
「設備を確認します」

コナンくんの言葉は、中に入ってきた消防署員にかき消されるように被せられた。

思わず二人で視線をそちらに向けると、女性マネージャーと社長は慌ててそれを止めようとしていて。

「あ、君・・・!」
「ま、まだ中には・・・っ」

静止を聞く前に、消防署員はステージへと繋がる扉を開けてしまって。

「う・・・うわあぁぁぁ!!」

その直後。
聞こえてきたのは、消防署員の大きな叫び声で。

皆が何事かと走ってステージ側へと向かった。

私もそこへ同じように駆け寄ってステージを覗くと、そこには目を疑う光景が広がっていた。



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