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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第65章 不行跡




「・・・と、透さん・・・!?」

直後、今度は零に私の腕を引っ張られて。
彼の表情を確認することも、どこに行くのかも分からないまま、ただそれに引かれて歩いた。

「あの、すみません」
「はい?」

突然、一人のスタッフに零が声を掛けて。

「彼女、具合が悪いみたいで。空いている部屋がありましたら、少しだけ貸して頂けませんか?」
「それなら、この奥に使っていないスタッフルームがありますので、そこをどうぞ」

スタッフにそう案内されると、お礼を告げた零は言われた部屋へと足を運んだ。

・・・思っていたよりも、言い訳をする時間は早くきてしまったようだ。

何て言えば良いか、何を言えば良いか、どこから言えば良いか。
頭の中はぐちゃぐちゃだったが、嘘だけはつかないと心に決めて。

部屋へと入ると、彼はすぐにその鍵を閉めた。

薄暗い部屋だが、電気も付けないまま急に体を壁に押しやられて。

同時に、その体は彼の腕の中へと包まれた。

「・・・零・・・?」

小さく、か細く。
確認する様に彼の耳元で名前を呼んで。

「・・・あの男と来たのか」

今は零である事に間違いは無いようだが、手短に済ませたいと言わんばかりに、突然質問が降ってきた。

誰もいない離れた部屋にいるのだから問題は無いだろうが、念の為か彼の声は限りなく囁きに近くて。

零がここに来たということは波土禄道の事を調べに来たんだろうから、手短に済ませたいのは当たり前の事か・・・と自分を納得させつつ、重い口をゆっくりと開いた。

「合ってると言えば合ってるけど・・・違うと言えば違う・・・」

零の問いに同じく小声で返すが、あまり答えにはなっていないと気付いてはいて。

「色々あって・・・でも、沖矢さんの車に乗ってきたのは間違い無い・・・ごめんなさい・・・」
「・・・あの男は何故ここに」

言葉を付け足すが、返ってくるのは質問だけで。
でも今は、それに黙って答えるしかなかった。


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