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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第65章 不行跡




「んじゃ、後は大ファン三人でごゆっくり!」
「ほら、コナンくんも帰るよ」
「あ、ちょっ・・・」

園子さんの掛け声に、蘭さんもコナンくんを引き連れて帰ろうとし始めて。

ただ彼はまだ諦めてはいない様子だった。

「ねぇ、梓姉ちゃん!」
「ん?」

蘭さんが引く手を止めながら、コナンくんが振り返って梓さんに話し掛けて。

「波土さんを好きになったのってやっぱギターが上手なとこ?梓姉ちゃんもギターすごく上手だし!」
「ええ、勿論そうよ!」

・・・あれ、梓さんって楽器弾けたっけ・・・?
聞いた事が無いだけで、そんな特技があったんだろうか。

「あれ?梓さんってギター触ったこともないって言ってませんでした?」
「ほら、この前ウチらのバンドに誘った時に」

梓さんの返答を聞いた蘭さん達がそう問いかけると、少し戸惑った様に梓さんが言葉を続けた。

「ああ、あの時は女子高生のバンドに入るのが恥ずかしくて思わず・・・ゴメンね!」

その返答を聞いて、暫く彼女の様子を目で追った。

・・・やっぱり、いつもと少し違う気がする。
何が、とは具体的に言えないけれど、どこかに引っ掛かりを感じて仕方が無い。

不安を感じて、ふとコナンくんに視線を向けるが、さっきまでそこに居たはずの彼の姿は、いつの間にか無くなっていて。

辺りを見回すと、少し離れた場所で彼は沖矢さんと何かを話していた。
その表情はどちらも良いとは言えず、そこにも何か嫌なものを感じた。

もう一度梓さんにも視線を向ければ、そこには零と何かを話している様子があって。

タイミングは今しか無い。

早くこの場を去った方が良い。
今感じるのはただそれだけ。

「すみません。私、先に失礼します」

その直感に従い、蘭さん達へ軽く頭を下げると、零には気付かれないように出入口へ小走りで向かった。

とにかく帰って、それからの事は後で考えよう。

何時になく雑把な思考は、それ以上機能するとも思えなかったから。
今は深く考えるのをやめて、出入口扉の取手に手を掛けた。


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