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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第9章 仮の姿




その後、彼女の話を聞いていくうちに警察へ相談することを止められていた話を聞かされる。

コナンくんが、彼女が兄と呼ぶ人物に対して、後ろめたいことをしていたのでは、という発言に声を荒らげた。

大人しい女性と感じたが、どうやら自分の意思はきちんと言える人のようだ。

「警察官の知り合いがいたみたいだし、何より彼は・・・そういう人間じゃない」

その目は真っ直ぐ、兄という人を思う目で。
一瞬だけ、そんなに思われている彼が羨ましいと思ってしまった。

警察官の知り合いということは、内部に知っている人間がいるかもしれない。
調べることは難しいことではない。

もっと彼についての情報を教えてほしいと彼女にお願いすると。

「名前は本田冬真。歳は私より三つ上の29歳。運動が得意でとにかく明るい人でした」

幸か不幸か、その名前には聞き覚えがあった。
・・・いや。聞き覚えどころか、よく見知った人物だった。

彼が公安警察の人間で、僕の元部下で・・・一緒に黒ずくめの組織に潜入していた人物。

そしてその時に彼女の存在を思い出した。

いつだったか彼と外で話をしていた時に、たまたまいた彼女を遠目から紹介されたことを。紹介といっても、向こうはこちらには気付いておらず、僕達が一方的に見ていただけ。

その時に彼は、彼女だけは何があっても守らなくてはいけない、たった一人の大切な家族だから、と僕に伝えていた。

それが彼の強みにも弱みになるとは知らず。

ただ、このことを彼女に伝えることはできない。
関わってしまったことを少しだけ後悔した。

それから色々と詳しく話を聞いていく中で、彼女の口から耳を疑うことを聞いた。

「特に真っ黒なポルシェ356Aに乗っているやつは危ないやつが多いから近付かず連絡しろというのは、しつこく言われていました」

割と注意深い人間ではあったが、彼女にそのことを漏らしているなんて。
彼女を思ってのことだったんだろうが、これで彼女のことを放っておけない理由ができてしまった。

彼女が街でその車を見かけたら何かよからぬ行動を起こしかねない。

そうならない為にも、彼女を守る・・・監視することを決意した。


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