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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第8章 敵対心




室内まで運ばれ、ベッドの上にそっと座らされる。その後、履いたままだった私の靴を脱がしてくれた。

安室さんが部屋の中にいるだけで緊張するのに、度々触れるその手に一々心臓が反応してしまう。

「・・・色々すみません・・・」
「気にしないでください」

いつもの安室さん。・・・だと思う。
様子を伺いながら、彼の動作1つ1つを見守った。

「ところで」

脱がした靴を玄関に置いて、戻ってくる途中に安室さんが口を開く。

「先程の彼ですが」

ピクっと小さく体が反応してしまった。・・・何か勘繰られているだろうか。

「本当に初対面ですか?」

安室さんの目は真剣で。安室さんの瞳は見てしまうとロックがかかる仕組みにでもなっているのだろうか。
そのまま彼から目が離せない。

「・・・はい、初めてお会いしました」

確信的な嘘。それでもこれはつかなくてはいけない嘘なんだ、と心の中で何度も言い訳をした。

「・・・そうですか」

小さく笑った気がした。その笑みが意味することは分からなかったけれど。

「安室さんは・・・どうして戻ってきたんですか」

聞いてはいけないような気はした。聞かないようにはしていた。それでもこれだけははっきりさせておきたくて。手に力を込めながら、意を決して尋ねた。

「ああ、そのことなんですが」

思い出したようにズボンのポケットに手を突っ込み、何かを取り出す。

「これだけは返しておこうかと思いまして」

差し出されたのは、発信機と連動させていたスマホ。てっきりもう返ってこないのだと思っていた。

「・・・いいんですか?」
「先程も言いましたけど、使用は控えてくださいね」

手渡されたスマホは安室さんの温もりがあって。戻ってきたそれを暫く見つめる。
なんだか妙な違和感はあった。

「時計、置いてくれてるんですね」

安室さんのその言葉に、スマホから時計へと視線を移す。変わらず動いているそれを見て、微笑んでくれる安室さん。それに思わず胸を高鳴らせて。

「素敵なもの頂いてしまって・・・ありがとうございました」
「いえ、気に入ってもらえているなら良かったです」

そう言う安室さんは笑顔なのに何故か悲しそうで。その表情の意味を私が知るのは少し先のことだった。



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