第64章 戒めて※

「零･･･っ」

腕を伸ばして彼を求めれば、黙ってそれに答えてくれて。
体を触れ合わせると同時に、互いの唇も触れ合った。

「んんっ！んう、っん･･･！！」

快楽に弱い部分に指をグッと押し付けられれば、体はビクッと大きく跳ね、悲鳴にも似た声はそこで繋がる彼へと吐き出した。

「･･･ひなた、今日盗み聞きしてただろ」
「っは･･･ぁ、･･･え･･･？」

手は休めない。
けれど、確実的な動きもしない。

微弱な快楽だけを与え続けるまま、唇がギリギリ
触れ合う距離で話されて。

「き、聞こえて･･･きただ、け･･･っぁ、や･･･！」
「途中からは、聞いていたんだろ」

時に弱いところ攻める彼は、会話を続ける意思があるのか。

ほんの僅かに残る理性でそんな事を考えつつも、彼の質問に答えながら快楽に身を任せて喘ぐことしかできなかった。

「ど、して･･･」
「顔に書いてた」

違う、そうじゃなくて。

どうしてそんな事を聞くの。

彼なら分かってるはずなのに。
こんな時まで意地悪で。

「っあぁ！や･･･っ、れい･･･！」

急に腟内を埋める指は奥の方を刺激し始め、少し形の違う快楽を与え始めた。
彼の体に指を立ててそれに耐えるが、あまり力を入れても彼がまた傷を気にしてしまいそうで。

実際、悪化してしまった時に彼に隠す自信も心配させない自信も無い。

それでも言うことを聞きにくくなっている体は、それを逃す術をも見失わせた。

「少しは嫉妬、してもらえたか？」

自分の甘い声が耳に入りつつも、彼のその言葉もしっかりと聞こえてきて。

少し耳を疑うようなその言葉に思わず彼の表情を見れば、滲み出る意地悪を隠せない笑みが浮かべられていた。