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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第64章 戒めて※




「・・・い、ぁ・・・ッ!」

数秒見つめあった後、突然彼の手は肩の傷に移り、服の上から力を込められた。

「やっぱり、痛むのか」
「れ、零が掴むから・・・っ」

相変わらず、気付いてほしくないことばかり気付く人。
その注意力を私にも少し、分けて欲しいくらい。

「その前からだろ」

・・・少し、痛むくらいで良いの。
それで無かった事にしようなんて、思ってはいないけど。

だから。

「・・・大丈夫、気にしないで」

お願いだから。

「・・・・・・」

汗はどんどんと溢れ、痛みは強く確実なものになっていく。
そんな中、彼は私の目を離さずジッと見続けた。

「・・・零?」
「できるわけないだろ・・・」

小さなため息混じりにそう呟くと、私の衣服を整え始めて。

「れ、零・・・っ」

その手付きは優しいけれど、どこか作業的で。

気にかけてくれることは嬉しいけれど、中断させてしまった罪悪感の方が大きく感じられた。

「痛み止めは?」
「も、持ってない・・・事務所に行けばあるけど・・・」

ここ最近は飲んでいなかったから。
持ち歩くことなんて、考えすら消えていた。

「事務所に戻ろう、それまで我慢できそうか?」
「大丈夫・・・」

・・・何だろう。
怒って・・・いるのだろうか。

僅かに、でも確かに変わった空気が、痛く感じる。

「・・・零」

不安になって名前を呼べば、支度をする彼が小さく振り返って。

「どうした?」

声色も表情も優しげなものなのに、胸がざわつく。

・・・また私のせいで、彼の何かを壊してしまったんじゃないか。
そう思うと、罪悪感どころでは無くなってしまって。

「・・・何でも、無い」

小さく首を横に振り、痛む肩を押さえながらベッドから立ち上がった。

「ひなた」

私の手荷物を持つ彼が目の前に立って。
優しく触れるだけのキスを落とされた。



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