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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第63章 再出発




「そろそろお昼だな、僕が作るからひなたは適当に座っててくれ」
「いえ・・・っ、私も手伝います・・・!」

何かやっていないと落ち着かない。
それに、一人で居ても何もすることは無いから。

「じゃあ、ベランダからセロリとミニトマトを取ってきてくれないか」

エプロンを付けながら彼がベランダの方向を指差して。

ベランダに野菜?と、疑問を持ちながらも言われた通り彼の指差す方へと向かった。

「・・・!」

扉を開けると、そこにはいくつかのプランターが並べてあって。
そういうことか、と納得しながらベランダへと足を降ろした。

トマトやセロリの他にも色々と植えてある。
マメさが伝わるそれに、どこか彼らしさを感じては笑みが零れ、同時に秘密を知れたようで嬉しくも思えた。

「これで大丈夫ですか?」
「ああ、ありがとう」

言われた通りの物をそこから採って零に渡すと、慣れた手つきで何かを作り始めた。

手伝うと自分で言い出しておきながら、その姿に見惚れてしまって。
暫くは何をする訳でもなく、ただ彼の傍でその様子を見続けていた。

「・・・ひなた」
「!」

突然彼が振り向きながら声を掛けてきて。
それを合図に、ボーッとしていた意識を瞬時に取り戻した。

「すみませ・・・っんむ・・・」

謝りかけたところに、すかさずその口へ何かを突っこまれて。
わけも分からずそれを受け入れ口内に含むと、無意識にそれに歯を立てた。

「どうだ?」
「お、おいしい・・・です」

きっとそれは、さっき私が採ってきたミニトマト。
トマトらしからぬ甘さが口の中に広がると共に、彼の微笑む顔に恥ずかしさも広がってきて。

「いつかひなたにも、ここで食べてもらいたいと思っていた」
「・・・ここで?」
「ここに来る時は・・・全てを話している時だと思ったからな」

そう、かもしれない。
彼のことだから・・・私が真実を知らない内にここへ呼んだりはしないだろうから。

これを・・・零らしいと言うのだろうか。


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