第61章 悪い事※
「ンっ・・・く、んぅ・・・ッ!!」
ゆっくり抜かれた彼のモノが再び戻されて。
敏感に感じ取る腟内が快楽というものを全身に教えこんでいく。
くぐもった声を彼に吐き出しながら、彼の腕に爪を立てては教えこまれていく、その快楽に耐えた。
「貴女は・・・他人を信じ過ぎる割に、自分を信じる事が・・・できないんですね」
ゆっくりとしたピストン運動は続いたまま、離れた口から、少し挑発的にも聞こえる言い方で彼は私に捨て吐いた。
確かにそうかもしれない。
けど、他人を信じるからこそ自分を信じられなくなってしまうのではないかと、心の中だけで言い返して。
「いけません・・・か・・・っ」
「いいえ」
口角を上げながら短くそう答えた彼の手が、膨らみに添えられて。
蕾を指で摘まれながら強めに突き上げられると、一段と高い声が漏れた。
声も、快楽も、全てを我慢するように手の甲を口に押し当て、溢れそうな声を喉の奥で飲み込んだ。
「ダメですよ」
口を塞いでいた手に、力は込めていたつもりだった。
けれど、その手は簡単に彼の手によって取り払われてしまって。
特に彼が力を込めた様子も無いのに。
「ひぁ・・・ッや・・・!!」
蓋の無くなった口からは、溢れるように、はしたなく声が漏れ出て。
突き上げるスピードはゆっくりと上がり、その強さも徐々に増していくのと比例して、声も甘さと高さが足されていった。
「ん、ぁあ・・・ッ、あ・・・ぅ・・・っ」
部屋には甘ったるい自分の声と、ベッドが僅かに軋む音だけが響いて。
昴さんは今、どんな顔をしているのか。
何を考えているのか。
気にはなったが、彼の表情を確認する余裕も勇気も無くて。
ただ与えられている快楽に素直になっているだけ。
これがどんなに下劣な事なのか分かっているのに。
どうして・・・拒みきれないんだろうか。