第61章 悪い事※

「･･･っ、･･････？」

早められていたピストン運動は、何故か急にそのスピードと強さを落として。
最終的にはその動きを止められた。

荒くなった息を整えながら、さっきまでは確認することに怖気付いていた彼の顔へと、この状況の意味を問うようにゆっくり視線を向けた。

「集中、されてませんよね」

キスされるんじゃないかと思うくらい、顔をグッと近付けながらそう問われて。

確かに集中はしていない。

けれど、する必要はないはずだ。

それに。

「させなくしたのは･･･昴さんですよ」

自分だけを感じて欲しいなんて言っておきながら。

零のことを思い出すような事ばかり言う。

「そうでしたね」

相変わらず、笑顔は崩れない。

その笑顔が･･･怖くもあり、嫌いでもあり･･･そして、好きでもあって。

そこに好意というものは無いけれど。

「･･････！？」

突然、繋がったまま体を抱きかかえられると、昴さんはそのままベッドの上へと腰を下ろして。

彼の上に跨って座る形になり、先程よりも体は密着しているように感じた。

「･･･ん･･･っ」

一瞬抜けた力は体を下へと沈め、腟内を埋める彼のモノが更に奥深くへと突き刺さるのを感じた。

それと同時に小さく声が漏れて。

それ以上、体が落ちてしまわないように彼の肩へ手をかけて浮かしてみるものの、震える足に力が入るはずもなく、半ば仕方なく彼へと抱き着いて体を支えた。

「随分と可愛らしいことをなさるんですね」

不可抗力だ、と声を出したかったが、それどころではない状況と気持ちが、その言葉を押し殺した。

「･･････っ」

腕の力だけで体を支えてしまったせいか、再び肩へと痛みを与えてしまって。

それでも、この力を弱めてしまえば体は沈む。

そんな快楽のど真ん中に自分から落ちてしまうのは、いけない気がして。