第60章 天邪鬼※
「んんっ、んぅ・・・ッ」
指がするすると肌を這い、下着の隙間から侵入してきて。
長い指は呆気なく蕾まで届き、指先で優しく転がされれば、体は勝手にぴくぴくと反応し、彼へ吐き出す声も甘さを増していった。
「ん・・・んん・・・っん、ぁ・・・!」
やめてほしい。
態度ではそう示してみせたが、久しく誰かに触れられていなかったそこは、貪欲にその感覚を欲していた。
「・・・っあ、んぅ・・・ん・・・ッ」
たまに空気を取り込むことはできても、それはほんの僅かなもので。
苦しい、と彼を押せば、その唇はすんなりと離してくれた。
「キスの仕方を覚えた方が良さそうですね」
いつだったか、同じ事を言われた気がする。
けれど、それに慣れることはできなくて。
・・・というより。
「昴さんに関係な・・・っんん・・・!」
言いかけたところで、その口は蓋をされた。
予想しない瞬間でのそれに、苦しさはさっきの何倍もあって。
鼻にかかった声を何度も彼へ吐き出した。
「・・・っは、ぁ・・・!」
ようやく離れたそこから勢いよく空気を取り込み、肺へ送って。
酸欠のせいか少し揺らぐ視界の中、彼へ視線を向けた。
「口から取り込もうとするのではなく、鼻から吸うことを意識してください」
分かっている。
分かっているけど、思い通りになんてできなくて。
息を整える暇も与えられぬまま、その口はまた彼によって塞がれてしまった。
「ふ、ぅ・・・っんぅ・・・」
くぐもった声を吐き出し、蕾を刺激される度に甘さを含んでいく。
苦しさはこの上ないのに、上手く空気を取り込めない。
せめて手の動きを止めてほしい。
そう伝えるように、顔を歪ませながら彼の手の上に手を掛けるが、止まるどころか器用に下着のホックを外され、手全体で膨らみを覆われた。