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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第59章 不見識




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「まだ重いものを持ったり、激しく動かしてはいけませんよ。お大事に」
「ありがとうございます、お世話になりました」

あれから更に一週間経って、やっと病院から出ることができた。

正直、傷の具合はかなり良くなっていたが、恐らくFBIの都合で出してもらえないんだと察していた。

それでも今だけは黙って、彼らに従う事にした。

「こっちだ」

お世話になった医者に挨拶を済ませると、赤井さんにそう誘導されて。

病院を出る時も、表ではなく裏手から。
その上、目立たない夜の時間帯。

これからまた、工藤邸で昴さんと過ごす事になる。
それが心無しか安心しているような気さえして。

「どうした?」
「あ、いえ・・・何でもないです」

無意識のうちに車の前で立ち止まり、そんな事を考え込んでしまっていた。

本当は零の元に帰りたい。

だけどこうなってしまったのは私のせいだと思うと・・・そんな我儘が言える訳もなく。

赤井さんが開けてくれた助手席へと乗り込むと、その扉は彼の手によって閉じられて。
そして運転席には、既にジョディさんが座っていた。

「ジョディさん・・・?」
「久しぶりね。怪我はどう?良くなった?」
「は、はい・・・おかげさまで・・・」

てっきり赤井さんが運転するものだと思っていたが、その予想は裏切られて。

窓の外に目をやると、相変わらずポケットに手を入れている彼の姿が目に入った。

その瞬間、触っていないはずの窓が勝手に開いて。

でもそれはすぐに、ジョディさんが開けたのだと気付いた。

「またな、ひなたさん」

少し挑発的に、名前を強調するように言われて。
それに対して不思議な感覚に陥った。

彼とは暫く会えなくなる気がする。
けれど、またすぐに会える気もする。

大きく矛盾する不思議な気持ちが、心を酷く掻き乱した。




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