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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第59章 不見識




「いい加減にしたらどうだ」

少し強めに言われたその言葉に、ゾクッと何かが体を走って。

一言、言われただけなのに。

体は指一本動かなくなってしまった。

「・・・・・・ッ」

また今回も・・・選択を誤ってしまったのだろうか。

あの時、公安の言う事を聞いていれば良かった?

昴さんが会わせたかったという彼に、会わなければ良かった?

零が撃つ瞬間、飛び出さなければ良かった?

今更どうしようもないのに。
いつもこんな後悔ばかり。

自分の行動に・・・自信が持てない。

「言っただろう、勝手な行動はするなと」
「だったら・・・!」

それならせめて。

「零に・・・私は無事だという事だけは・・・伝えておいてください・・・」

彼の服を掴み、強く握り締めて。
怒りや悲しみ、苦しみのような感情が入り交じり、どうしようもない、この気持ちを抑え込むように。

「安心しろ、彼らも君が無事だという事はとっくに分かっているさ」

服を掴む私の手を優しく外し、丁寧な手付きで体をベッドへと直されて。

「今は怪我を治す事に集中していろ。何も一生会わせないとは言っていない」

そんな事は分かっている。
分かっているからこそ、今すぐに会いたいのに。

「・・・・・・」

いや、会って良いのだろうか。
このまま彼の前から居なくなった方が・・・彼を傷付けず、手を引けるのではないだろうか。

さっきまでの気持ちとは裏腹に、そんな感情すら湧いて出てくる。

・・・相変わらず、自分の気持ちにも答えが出せなくて。

こんな自分が・・・嫌いだ。


ーーー


「だいぶ傷口は塞がってきましたが、まだ無理は禁物です。これまで通り、あまり動かさないように」
「はい、ありがとうございました」

いつも通り、病室まで医者が来ては診察をしてくれて。
お礼を言うと彼らは部屋を去っていく。

あれから一週間が経ったが、まだここからは出してもらえる気配は一向に無かった。



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