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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第58章 こたえ




「そのままここを出ろ」
「その前に、これだけ渡しておこう」

そう言って赤井さんは、零ではなく私の方へと何かを投げてきて。

慌てて受け取ったそれに目をやると、薄汚れた二つ折りのパスケースのような物が手には握られていた。

これは何なのかと視線で尋ねるが、彼は何も言わず見つめ返してきて。

開けろ、という事なんだろうかと戸惑いながらも、恐る恐るそれを開いてみせた。

「・・・こ、れ・・・」

そこには小さな写真が二枚、見開きそれぞれに入っていて。

一枚は赤ちゃんを優しく見守る両親の、もう一枚はその母親が赤ちゃんを抱いている写真。
ただ私には、その母親に十分過ぎるくらいに既視感があった。

「・・・私・・・?」

それくらい、自分にとてもよく似ていて。

それで嫌でも気が付いた。

その写真に写る赤ちゃんの両親は、自分の父母なのだと。
そしてその赤ちゃんこそ・・・自分なのだと。

ただ一つ気になるのは。

「お前がどうしてそれを・・・」

シンクロしたように零の言葉が聞こえてきて。
思わず彼の方へ視線を向けた。

「いつかその赤ん坊に渡してくれと、頼まれたからな」

・・・頼まれた?

「だ、誰にですか・・・っ」

赤井さんの言葉に、食い入るように尋ねて。

「君の母親さ」

しれっと返されたその言葉に、また心臓が止まってしまいそうになって。

母とは・・・つまり、この写真に写るこの女性ということ?

「君の母親はFBIだった」
「!?」

私の母が・・・FBI・・・?
そんな、馬鹿な。

そう思った瞬間、鼓膜を破る勢いで何か大きな破裂音が室内に響いた。
それは鳴るはずが無いと思い込んでいた音。

それに驚き肩を震わせ、瞼は反射的に固く瞑って。

その直後、小さく聞こえた足音で事態を一気に飲み込み、慌てて赤井さんの方へと目を向けた。



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