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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第58章 こたえ




「・・・赤井秀一・・・さん・・・?」

恐らく会うのは二度目。

ハッキリと姿を見るのは初めてだけれど。

黒いニット帽に、服装も黒め。
そして一番記憶に残っている、鋭い目付き。

全く気配を感じなかったのは、さすがFBIと言ったところだろうか。

・・・いや、そんな事より。

「昴さんが会わせたい人ってやっぱり・・・」
「やっぱり、という事は大体想像がついていたようだな」

ジョディさんが迎えに来た時から、そうではないかと疑ってはいた。
けど、どこか半信半疑のような気持ちもあって。

「・・・どうして、今なんですか」

昴さんは、赤井秀一が私に会えない理由があると言っていた。
それが何なのかは知らないが・・・そう言っていた日からそう日は経っていないのに。

どうして、今。このタイミングで。

「君もそろそろ真実を知るべきだと思ったからだ」

・・・真実?

「それはここで聞くのが一番だと思ったから、ジョディに言ってここへ連れて来てもらった」

そういえばさっき、ここは兄が使っていた場所だと・・・。

その情報を持った状態で改めて部屋を見回すと、簡易的に寝る場所、明かりを灯す為の蝋燭などが目に入って。

逆に言えば、それ以外に生活用品らしきものは見当たらない。

本当に必要な時以外は使っていなかったようで。


「ここは、君の兄が最期を迎えた場所だ」


そう言いながら、赤井秀一は部屋に足を踏み入れていった。

淡々と、何の感情も持たないように喋る彼だったが、私に向けたその背中からは、どこか物悲しさを感じた。

兄の最期に見た景色がこれだったなんて。

赤井秀一から真実の一部を聞かされて、最初に思ったことはそれだった。

兄は・・・どんな思いで、ここで最期を迎えたんだろうか。

どうしてこの場所を最期に選んだんだろうか。

・・・どうして、何も。

「・・・何も、教えてくれなかったの・・・」

それは、一番は兄に向けた言葉だったけれど。

心のどこかで、零にも向けていたのかもしれない。




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