第57章 再びの
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「・・・・・・?」
朝、目が覚めるとまた景色が違っていて。
それでも、もっと見覚えのある場所。
「お目覚めですか」
重い瞼を上げれば、ソファーに座る彼の姿。
向かい側のソファーに寝かされていたんだと気付けば、何故、という疑問が一番に浮かんで。
「僕の姿が見えないと不安がると思いまして」
また人の心を読んだように勝手に答えられる。
ただ、それが彼の言う通りなのが悔しかった。
「貴女の寝顔、可愛らしかったですよ」
悪戯な笑みを浮かべながら挑発的な口調で言われて。
一気に顔が熱くなるのが分かった。
「・・・変態」
「ありがとうございます」
到底お礼を言われるような言葉ではないのに。
噛み合わない会話すらも、少し楽しく感じてしまうのは何故なのか。
昨日から疑問ばかり出ては解決しない。
「そういえば先程、彼から連絡がありました」
「!!」
突拍子も無い言葉に、まだ半分寝ていた脳は強い衝撃を受けたように叩き起された。
「今回は、あの少年にお礼を言うべきですかね」
・・・コナンくん?
彼が何か手を下したのだろうか。
もしかして、彼にまた危険な事が・・・。
「大丈夫ですよ。彼も貴女も、コナンくんも、これ以上の危険は及びませんから」
相も変わらず、勝手に人の考えを読み取っては答える。
ただ、彼の言葉だけでは説得力不足とも言えた。
「・・・零に、会えるんですか?」
今会うのは少しだけ気まずい。
それでも、会いたい事には変わりない。
「その前に、会って頂きたい人がいます」
・・・昴さんが私に、会ってもらいたい人?
「誰ですか・・・?」
「それは行ってみてのお楽しみですね」
彼の笑みが意味する事が何なのか、その理由を知ってみたいようで、知ってしまうといけないような気もした。
「貴女のお兄さんについて、少しは教えてくれるかもしれませんよ」
その言葉に、体中からざわめきが沸き立って。
押さえ込んでいた欲望が湧いてくるようだった。