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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第57章 再びの




「僕はリスクなどありませんよ」

そういって優しく体を密着させられると、彼の体から鼓動が聞こえてくるようだった。

何故かやめてと言えなくて。

何故かその体を突き放せなくて。

何故か彼の背中に手を回していて。

気付いた時には、彼に縋るように抱き締めていて。

「・・・零が良いんです」
「知っています」

零とは違う、意外と筋肉質な体を感じながら目を閉じて。

いつだって目を瞑れば、零が浮かぶ。

その姿を思い浮かべては寂しくなったり、悲しくなったりして。

「・・・昴さんを選ぶことは絶対にありません」

もしそんな日が来るのであれば、それは私自身を軽蔑する。

それくらいに自分としては有り得ないことで。

「利用もしたくありません」

でも。

「・・・でも」

でも。

「何故か・・・縋ってしまう・・・」

心の声が漏れるようで。

縋ることは、利用しているということなんだろうか。
それすらも、もう分からなくて。

「駄目なんでしょうか?」

密着していた体をグッとソファーに押し付け、苦しさを感じながらそう言われて。

「最終的に、楽に縋れる人間を選べば良いのではないでしょうか?」

そう言われ、凝り固まった考えが少し崩れていくようで。

彼の背中に回していた手に力を込めた。

「・・・どうしたら、零だけを選べますか」
「頑固ですね」

彼の肩が小さく揺れるのを感じ、笑われていると気付いて。

「たまには僕を選んで欲しいですね」

その言葉が苦しくて。

別に求めたい、会いたい、縋りたい、なんて彼に思う訳ではないのに。

救いたい、とは思ってしまう。

何から、という明確な答えは分からないけれど。

「・・・すみません」
「謝らないでください」

押し付けられていた体はゆっくりと離されて。

互いの顔を確認すれば、彼はいつも通りの笑顔を浮かべていた。




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