第57章 再びの
「でも、どうしてそんな事が分かったんですか」
「キールから赤井秀一に、そう連絡が来たんですよ」
キール・・・確かCIAで組織に潜入している、赤井秀一を撃った人。
まだ彼女とはそういう関係を保っているんだと知って。
「バーボンが貴女を匿っているのがバレたようです」
昴さんがさっき私のせいだと言った理由がはっきり分かった。
どこからバレたのかは知らないが、それが本当だとすると、確かに危険な状態は変わりない。
早く零の声を聞きたい。
でも、零を・・・公安ではなくFBIを選んでしまったことへの罪悪感は残っている。
「まあ、彼はこうなることを読んでいたようですから、何か策があるんでしょう」
確かにいつバレてもおかしくない状況にはあった。
そうなることを零が想定しても変ではないが・・・風見さんの少し焦った様子からして、その時期は予想を裏切ったということだろうか。
「・・・どうすれば透さんを助けられますか」
彼に聞いたって仕方がない。
彼に聞くのは癪に障る。
それでも、今頼れるのは彼しかいない。
「残念ながら、今の貴女にできることはありません」
覚悟はしていた言葉だったけれど、はっきり言われてしまうとそれなりのダメージはあって。
零には迷惑ばかりかけて、できることもない。
私は・・・何の為に存在しているんだろう。
「安心してください、公安が安全を確保したらすぐに、彼の元へ返して差し上げますよ」
安全を確保・・・それがいつになるか分からない。
もしそうなったとしても、私は公安の元へ・・・零の所へ帰っても良いんだろうか。
帰ったらまた迷惑をかけたり、零を危険に晒したりするのではないだろうか。
そうなるなら、私の選択はただ一つだ。
「・・・昴さん」
「はい?」
何度も拒んだ。
もう受けないと決めたけれど。
「ジョディさんに・・・連絡を取っても良いですか」
私の最終手段は、それしかない。