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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第56章 それは




家でじっとしていると、とにかく時間が経つのが遅い。

早く零に会いたい。

会って声が聞きたい。

あの少し冷たい手を感じたい。

強く抱きしめてもらいたい。

そんな欲望ばかり湧いて出てくる。

もう彼無しでは生きていけそうにない。
そう思うと同時に、もし彼を失ってしまったら。

今度こそ本当に・・・。


ーーー


「・・・!」

約束通り十二時ぴったり。
玄関の扉をノックする音が響いた。

パタパタと忙(せわ)しく向かうと、勢いよくその扉を開いて。

「お・・・お待たせしました」

勢いよく飛び出してしまい過ぎただろうか。
少したじろいだ様子の風見さんがそこに立っていて。

「わざわざすみません」

頭を下げるなり荷物を手に取ると、扉を施錠して風見さんに向き直った。

「お願いします」

風見さんの目をしっかりと見つめながら告げると、僅かながら彼は驚いたような雰囲気を見せて。

それでも冷静に車まで案内された後、助手席へと乗り込んだ。

ポアロまではすぐそこ。
それでもその一分一秒が待ちきれなかった。

そう一人で浮き足立っていると、突然風見さんが閉じていた口を開いて。

「・・・本田冬真と、知り合いだそうですね」
「!」

そういえば、零から風見さんの事を聞かされた時てたそんな事も気になっていた。
まさか風見さんからその話をしてくれるとは思わなくて。

「兄を知っているんですか・・・?」
「・・・私の後輩でしたから」

後輩・・・ということは少なくとも風見さんは三十代なんだろうか。
そうなると零も・・・。

警察での先輩後輩が年齢で決まるのかは、定かでないけれど。

「彼とはよくトレーニングをしていましたよ」

そうか・・・兄の言っていたトレーニング相手って、風見さんだったんだ。

今更ながら兄と少し距離が縮まったようで、どこか心が温かくなる気がした。



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