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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第7章 黒の車




翌朝、アラームの音で目を覚ました。
手探りでスマホを探し、寝ぼけ眼でアラームを止める。

「・・・朝か」

まだ頭がボーッとする。昔からどうも朝は弱い。
二度寝しないように、と頭を少しでも早く起こす為に暫くベッドの上でコロコロと転がった。

今日は元々事務所での勤務日だった。無くなったと思っていたそれはペット探しによって再び出勤という形になって。

散らかしっぱなしだったパーツ達を片付け、朝のシャワーを浴びる。メイクや着替えも済ませ、写真の向こうで笑っている兄に視線を向ける。

「いってきます」

いつもの挨拶。兄がいなくなった頃から癖になっていて。
そろそろ気持ちの整理もつけないと、と考えながら依頼主の元へ向かった。

ーーー

幸いなことに、数時間で依頼は完了した。

意気込んだ依頼は呆気なく終わってしまい少し途方に暮れる中、せっかく外に出たのだから、久しぶりに洋服でも買いに行こうかと思い立って。

電車を乗り継いで向かったのはショッピングモール。平日なのにそれなりに人が多くて。

あまり人混みが得意でない私にとって少し疲れる場所ではあったが、それくらいの方が今の私にとっては都合が良い気がした。

久しぶりのショッピングは思っていたよりは楽しくて。一着のワンピースが目に入り、手に取った。
少し控えめなフリルがついた膝丈のワンピース。あまりこういうのは着たことがないが、興味はある。

・・・安室さんはこういうの好きだろうか。

ふと頭に浮かんだ安室さんの顔。昨日の朝別れたばかりなのに、ふと会いたくなって。

別に付き合ってる訳ではないし、会う理由があるとすれば仕事だけ。
そんな関係を崩したいとは思っていないが、これより進めないことを少し残念にも思う。

昨日から何度もついているため息をここでも漏らし、ワンピースを元あった場所へと戻した。

暗くなる頃まで彷徨くが、結局何も買わないまま帰路について。

ただ疲れにきてしまっただけだが、それでも良かった。今は常に何かで気を紛らわしておきたい。それができただけで十分。

そう思いながら駅までとぼとぼと歩き出した。

大通りを歩いていると、カップル達がやたら目について。
羨ましい気持ちは勿論ある。お互いに好きと言い合える関係が。

勝手に見ては悲しくなり、逃げるように人通りの少ない路地裏に入った。


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