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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第54章 少年は




「どうしたの?そんなに慌てて」
「・・・コナンくん」

少し改まったように名前を呼ぶと、彼の目付きが僅かに鋭くなったように感じて。

「話・・・できるかな」

真っ直ぐ彼の瞳を見据えて。
少し驚いたようにも見えるその表情に、彼も何か察しているようにも思えた。

「・・・分かった、入って」

彼に誘導されるまま阿笠邸へと足を踏み入れると、台所と思われる部屋の中央には阿笠博士が居て。

「あ、阿笠博士・・・お邪魔します」
「おおー、如月くんか!」

お昼を準備している様子の博士に軽く挨拶を済ませると、コナンくんに近くのソファーへと誘導されて。

彼が腰かけたのを確認してから、私もそこへ腰を下ろした。

さっき昴さんと話したばかりの蝶ネクタイの存在を探すが、どうやら今日は付けていない様子で。

「あの・・・コナンくん・・・」
「誰にも言わないって約束できる?」
「・・・!」

私の言葉を遮ってそう話す彼の目は・・・あの時と同じ、澄み切った綺麗な目をしていた。

そこから感じる覚悟のような物も、あの時と同じ。

「安室さんは勿論、昴さんにも」
「・・・昴さん?」

でも、彼は・・・。
そこまで思って、何かが私の中で言葉を引き止めた。

昴さんはきっとコナンくんの正体に勘づいている。
ここまで導いたのも彼の情報があってこそだ。

けど、それを昴さんが知っていることは彼に口止めされている。

コナンくんも、何故言わない事を望むのかは分からないが、彼がそう言うなら。

「・・・分かった」

首を縦に動かす他なかった。

零にこの事を言えないのは罪悪感が残るが、私が辿り着けた答えだ。彼なら私から言わなくても、きっと直ぐにわかるだろう。

「何から聞きたい?」

そう尋ねる彼の姿は、この状況を楽しんでいるようにも見えた。

ある意味彼は追い詰められているような状況なのに。
彼の姿を見ると、何故か私の方が追い詰められている感覚に陥った。



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