第53章 初めて※
「いあっ、ぅ・・・んん・・・ッ」
ゆっくりとナカへと侵入を進めるそれは、蜜口をギリギリまで広げながら確実に欲望を満たしていく。
あれが・・・最後だと思ったのに。
また、彼と繋がっている。
その嬉しさ、苦しさ、切なさは複雑に絡み合って。
何故かそれは。
「泣かないでください」
涙となって溢れていた。
「貴女がそんなに泣き虫だとは思いませんでしたね。・・・痛かったですか?」
「ちが・・・」
彼が困っている。
そう声色で分かるくらい、気持ちが見えていて。
「嬉し、くて・・・」
最近涙腺が壊れてしまったのかもしれない。
私の意志とは関係無く溢れるそれは、指で拭われてはまた溢れて、を繰り返した。
少しの時間が流れて。
彼の冷たい指が何度も触れることを繰り返していると、涙も少しは落ち着きは見せたようだった。
「・・・不安にさせて悪かった」
頬を両手で包まれて。
額通しが触れ合って。
切ない声で謝られて。
それは降谷零の声で。
確かに、彼の言葉通り不安を感じた部分もあるが、でもそれ以上に私は・・・。
「零を、信じていたから・・・大丈夫」
そう伝えた瞬間、頬を包む彼の手がピクっと動いた気がした。
それが何を意味するのかは、私には分からないけど。
「・・・もう安室透はいないからな」
やっぱり、見え隠れしていたんだと悟れば、それで良いと・・・それが良いと頷いて。
その瞬間、彼のモノは一気に奥まで押し込まれた。
「あぁっ・・・い、ぁあ・・・ッ!!」
求めていた快感。
求めていた感覚。
ただ奥まで入れられただけ。
それだけなのに、先程の事もあって、呆気なくイってしまいそうだった。