第53章 初めて※
「聞いてます?」
「き、聞いて・・・んっ、あぁ・・・ッ!」
返事が無ければ聞いていないとされる。
それは彼が警察官という職業についているからこその、考えのようなものなんだろうか。
そう脳裏で考えながらも、彼の手は秘部の辺りを優しく撫でるように、僅かな刺激しか与えないように指を動かし続けた。
「僕以外の人間に見せた時は・・・分かりますよね?」
その先の言葉は無くても、察するには十分過ぎる声色で。
微弱な刺激と相まって、ゾクゾクとした感覚を全身で感じれば、不思議な気持ちで包まれた。
「ひなたは・・・、僕の大切な人ですからね」
恋人、とは言わない。
そもそも付き合う、とも言っていない。
そういう明確な関係は、正体を明かしたとしても持てないんだと思った。
否、明かしたからこそ・・・かもしれない。
私が大切な人を作ろうとしなかったのと同じ理由で、彼もそういう関係を持とうとしないのか。
・・・私はそれでも構わないが、その関係が寂しくないと言えば・・・嘘になるかもしれない。
それを彼に言うことは恐らく、無いと思うが。
「・・・れ、い」
彼の言葉に応えるように、そして微弱過ぎる刺激がもう限界だと訴えるように、か細く名前を呼んで。
ビクビクと痙攣し、この上なく刺激を求めている体を早くどうにかしてしまいたい。
「ひ、あぁぁ・・・ッ!!」
名前を呼んだすぐ後、焦らしていた彼の長い指が私のナカへと侵入していった。
一本の質量ではない。
明らかに苦しさを覚える質量に、思わず軽く背中を仰け反らせた。
「三本、飲み込んでしまいましたよ」
敬語だと、更に意地悪に聞こえるのは何故だろう。
そうだと分かっていて言っているのだろうか。
痛みはあるが、それ以上に求めていた感覚が襲ってくることに意識が集中していた。