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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第53章 初めて※




「考え事、ですか?」

いつの間にか耳元に来ていた彼の唇から、そう言葉が漏らされた。

掛かった息もそうだが、どちらかと言うとその言葉自体に反応して、反射的に彼の方へと顔を向けた。

「顔に書いてある」

その視線の先には、やっぱり意地悪な笑顔が待っていて。

いつも彼には何もかも見透かされている。
それは恥ずかしいという思いもあるが、悔しさも同時にあって。

「で、電気消してください・・・!」
「却下します」

顔が見えるからいけないんだ。
そう思って所望した事は簡単に退けられてしまって。

「僕の好きにして良いんですよね?」

後悔するなと言った彼の言葉が過ぎった。
こんな所でその言葉がチラつくなんて。

「で、電気だけ・・・消してほしいです・・・」

彼の胸元で隠すように顔を埋めて、そう懇願した。

明るい所でした事がない訳ではないが、今は彼だけを考えていたい。
何かが見えれば、それだけ何か必要無い事を考えてしまいそうだから。

「・・・ひなたは明るいのを嫌いますよね」
「そう・・・ですか?」

以前にそんなこと、言ったことがあっただろうか。
どちらかと言うと、暗い方が好み・・・と言った方があっているかもしれないが。

そんなことをぼんやり考えながらも、とにかくこの願いだけは受け入れてほしくて。

埋めていた顔を少し上げながら聞き返しては、お願いするように彼の服を握り締めた。

「僕はひなたの可愛い顔を見ながらしたいんですが」
「・・・私は、零だけを感じていたい・・・」

今は、貴方だけを。

「・・・・・・」

数秒の沈黙の後、彼の小さな溜息が聞こえた。
それに気が付いて顔を上げると、困ったように笑う彼の表情が見えて。

「・・・仕方ありませんね」

そう言って、一度部屋の明かりを消しに私の上から立ち去った。
すぐに戻ってくるなり、半分ベッドから足がはみ出す形になっていた私の体を、中央へと移動し直されて。



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