第53章 初めて※
「・・・っ!」
突然、重ねていた唇をペロッとひと舐めされて。
その感覚に全身がビクッと痙攣するように跳ねると、回していた腕を離し、彼へ驚きと僅かな怒りを含んだ視線を向けた。
「れい・・・!」
「そんなことをするひなたが悪い」
勝ち誇ったような笑顔で言われれば、彼の意地悪度が最高潮に達しているのを感じた。
「・・・っ、ん・・・」
添えられていただけの手が、急に強くその膨らみを歪ませるように動き出す。
下着の上から揉まれているだけなのに、焦らされた分の刺激は思ったよりも強くて。
「あ・・・っ、や・・・」
下着の隙間から指だけが滑り込み、蕾を弾くように愛撫される。
今まで何度も甘い声は聞かれたことがあるのに。
それでも、彼を降谷零だと認識した上では初めてだから。
どこか恥ずかしさを感じて、思わず手の甲でその口を塞いだ。
「・・・今日は優しく、ですか?」
少し悲しくも見えるその笑顔と問い掛けに、きっとあの時のことを思い出しているんだと思った。
意地悪だとも取れるその質問の裏には、恐らく彼なりの懺悔もあるんだとも感じて。
「零の・・・好きにして」
互いにあの時の出来事は大きな傷を作ったけれど、その傷を癒せるのも互いの存在だ。
あんな事もいつか・・・笑える日が来るだろうか。
「どうなっても知りませんよ」
敬語が抜けきらない彼を見れば、まだ完全に降谷零として居ることは難しいんだな、と感じ取った。
でもそれは、きっと私も同じ。
昴さんに言われた、素の私という言葉は、いつもどこかで彼らと話す度に思い出していて。
本当の私とは・・・一体どれなんだろう。
「っや、あ・・・、んん・・・!」
服と下着を捲り上げられ、膨らみが彼の前に露出したところをすかさず、蕾を舐め上げられた。
意志とは関係無く反応する声と体は、快感と共にその大きさも増えていった。