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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第53章 初めて※




「コーヒー、冷めちゃいますよ・・・?」

そう言って軽く彼の胸元を押して体を剥がすと、少し寂しそうな笑みを浮かべられて。

その表情に心臓が反応すれば、心底彼に惚れていることを実感する。

彼が私の分のカップも運びながらソファーへ向かい、腰掛けてはまた他愛の無い話を始めた。
その中で、そういえば・・・と彼に確認しておくべきことを思い出して。

「あの・・・そういえば私、ポアロへは・・・」

コナンくんは、ああ言っていたけど。
きっとそれは難しいことなんだろう。

戻りたいのは山々だが、彼に迷惑だけはかけたくない。
口に出すとまた怒られてしまうから言いはしないけれど。

「・・・少し考えていましたが、ひなたが戻りたいと言うのであれば、僕と居る間は許可します」

それは、つまり。

「ポアロでも零と一緒・・・?」
「安室透、ですけどね」

何だっていい。
ポアロに戻っても良いなら。
彼との時間が増えるのなら。

「ただ、貴女が危険な状態なのは変わらない。極力、一人での行動は避けてください。どうしても必要な時は僕の部下を向かわせる」

彼の部下・・・ということは、公安の人か。

「間違ってもあの男は頼らないでください」

そう話す彼の目付きが鋭くて。
昴さんへの敵意が消えることは無いんだろうか。

それはそれで少し・・・複雑な気もする。

確かに変な人ではあるが、悪い人ではない。

「聞いてますか?」
「き、聞いてます・・・!」

ずいっと寄ってきた彼の顔が近くて。
大きく心臓を跳ねさせては、こんな生活が続くと本当に心臓に悪そうだと、鼓動を抑えるように胸に手を当てた。

「念の為、近い内にその部下を紹介しておきます。顔と名前だけは覚えてやってください」
「わかりました」

そう返事をしたところで、私は知らないうちにずっと誰かに守られ続けてきたことを実感した。

兄や零、昴さんやコナンくんも・・・形は違えど、みんな私を守ってくれた人達だ。



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