第50章 真相と
「え!?如月さん!?」
突然、店内の奥の方から声がしたと思った途端、姿を現したのは慌てた様子の梓さんで。
「良かった・・・!ずっと心配してたんですよ!」
駆け寄ってくるなり、涙ぐみながら抱きついてくる彼女に申し訳無さが募った。
「・・・すみません。スマホの調子が悪く、中々連絡できなくて・・・」
また、吐いてしまった嘘。
それでもこれは・・・きっと許される嘘。
「とにかく元気そうで良かったです・・・!復帰、できそうですか?」
その言葉に、グッと胸が締め付けられた。
ここは、私の大切な居場所だった。
でも今となっては苦しくなってしまう場所でもあって。
恐らく、ここに戻ってくることは・・・。
「近い内に戻るんだよね?」
当たり前のようにしれっと言ってみせるコナンくんの言葉に、私が一番驚いてしまって。
「あれ、如月さん、そう言ってなかった?」
彼の瞳が、話を合わせろと言っている。
何の考えがあってか知らないが、今はとにかくそうする他無いんだと感じ取って。
「あ、はい・・・。まだハッキリ言えませんが、近い内には・・・」
ふと視界に入った透さんの驚いた表情に、更に胸が締め付けられる思いになった。
多分、本当に戻ってくることは・・・ないんだろうけど。
「良かった!あ、そうだ!復帰祝いに何か食べていきません?」
無邪気な彼女の笑顔は、時に凶器になるのだと知った。
苦しくて苦しくて・・・仕方ない。
「あ、いえ・・・私はちょっと顔を出しに来ただけなので・・・帰りますね」
早くこの場を立ち去りたい。
透さんの視界から消えたい。
本心とは裏腹な気持ちばかりが先走って。
コナンくんを置いて、ポアロを飛び出すように出て行った。
「・・・・・・ッ」
泣きたく無い時ほど涙は出てくるものなんだな、と気付きながら工藤邸へと逃げるように走った。