第50章 真相と
「コナンくん・・・!!」
彼に聞きたいことが増えたのに。
今はそれ所では無くて。
気持ちが・・・追い付かない。
「・・・・・・ッ」
毛利探偵事務所の看板が見えて。
必然的に、その下にあるポアロの看板も視界に入った。
行きたくない・・・はずなのに。
もう一度話がしたい、会いたい、声が聞きたい。
そんなことを思っている自分も居て。
「・・・透さん」
ポアロの窓越しに、彼の姿を確認する。
昨日あんな事があったのに・・・ポアロにきちんと顔を出すんだと驚いて。
「行くよ」
心の準備なんて物はできないまま、ポアロの扉の前まで連れて行かれた。
躊躇無く開かれたそれに、心臓が止まってしまいそうで。
「いらっしゃいま・・・」
カランカラン、という心地好いドアベルの音が響けば、条件反射のように透さんが振り向いて。
私たちの姿に気が付くと、その言葉と共に動きが止まった。
「・・・・・・」
向き合うように、透さんが体の向きを変えて。
彼の顔は直視できなかった。
治まったように思えた体の震えも、呼吸も、気持ちも、何も整えられてはいなくて。
ほんの数秒だけ、時が止まったように沈黙が過ぎた。
「うそつき」
コナンくんがそう一言だけ透さんに告げた。
その言葉が意味することは分からなかったが、彼の清々しそうな表情と声色を聞いた途端、何故か気持ちは落ち着いたように思えて。
「君に言われたくはないさ」
そう返す透さんに、思わず視線を上げた。
少し困ったように笑うその表情は疑問を増やすと共に、安室透を感じた瞬間でもあった。
何故かお互いスッキリとしたような雰囲気の中、やり切ったような表情を見ると、いつの間にか震えは止まっていて。